2011年度液晶サマースクール開催報告(校長 岸川 圭希)
2011年液晶サマースクールは、7月14日(木)~16日(土)に、東京(晴海グランドホテル)にて、総勢56名で行われました。期間中、天候も良好で、心配された計画停電もなく、無事予定通りに「液晶の基礎から応用まで」の講義が行えました。講師・実行委員の皆様、参加者の皆様のおかげで、たいへん有意義なサマースクールが行えました。ありがとうございました。
今回のサマースクールを一言で表すと、「濃いサマースクール」でした。例年よりも、サマースクールのテキストは分厚く、180ページにも及びました。詳細かつ丁寧で、情報量が多くなりました。スケジュールとしては、初日、二日目とも、夜は23時、24時近くまで講演会が入るハードなものとなってしまいました。懇親会も多くの人が午前2時まで、交流を楽しんでいらっしゃいました。
講義としては、以下の8つの講義が行われ、液晶研究における物理・化学・デバイスおよび液晶産業について、それぞれの専門の一流講師陣が、丁寧な分かりやすい説明を行ってくださいました。物理・化学の講義では、これまで理解できていなかったものが詳しい解説により理解が進みました。また、ディスプレイや液晶産業に関する講義では、まだ本に書かれていないような最新の貴重の情報が盛りだくさんで、持っていた知識がすっかりバージョンアップされたような思いでした。
講義1「分子構造と液晶性」西山 伊佐先生(DIC)
講義2「偏光顕微鏡と液晶の組織観察」石川 謙先生(東工大)
講義3「ネマチック相の物理」尾﨑 良太郎先生(防衛大)
講義4「分子構造と材料物性」岸川 圭希(千葉大)
講義5「界面配向と高分子安定化」菊池 裕嗣先生(九州大)
講義6「複雑系の液晶分子」沓水 祥一 先生(岐阜大)
講義7「ディスプレイモード」木村 宗弘先生(長岡技科大)
講義8「ディスプレイ計測・今後の液晶産業」井上 勝先生(東陽テクニカ)
新しい試みとして、「何でも講演会」と「ホットな研究分野の招待講演」をこれまでのスケジュールに加えました。「何でも講演会」は、参加者・講師に自由に発表をしていただくために企画しました。3名の学生さんが研究発表や大学研究の役割についての問題提起などを行い、講師の西山先生から「事前組織化」や「キラリティと立体効果」等の解説があり、菊池先生からは「ブルー相の詳しい話」がありました。ほとんどの皆さんが夜遅くまでメモを取りながら真剣に聴き入っていました。「ホットな研究分野の招待講演」では、奈良先端科学技術大学院大学の中村雅一先生にプリンタブルエレクトロニクスの講演をしていただき、最先端のエレクトロニクスやこれからのエレクトロニクスについて多くのことを教えていただきました。
2日目夜のポスターセッションでは、11件の発表があり、いずれも大変高いレベルの内容でした。参加者にとって、研究者と直に質疑応答ができる良い機会であったと思います。
未熟な校長ではありましたが、皆様のご協力のおかげで2011年のサマースクールを無事終了させることができました。どうもありがとうございました。また、ほとんどボランティアであるにもかかわらず、いろいろと私の無理なお願いに快く対応してくださいました講師の皆様に重ねて御礼申し上げます。
最後に、2011液晶サマースクールを企画・運営したワーキンググループのお名前を以下に記します。石川 謙先生(東工大)、井上 勝氏(東陽テクニカ)、尾﨑 良太郎先生(防衛大)、菊池 裕嗣先生(九州大)、木村 宗弘先生(長岡技科大)、沓水 祥一先生(岐阜大)、西山 伊佐博士(DIC)、安武 幹雄先生(埼玉大)、そして、岸川 圭希(千葉大)です。