From: 香田智則
Tue, 15 Nov 2005 01:57:11 +0900
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2005年液晶物理・物性フォーラム研究会の御案内
日本液晶学会 液晶物理・物性フォーラムでは下記の研究会の開催を予
定しております.今年度は,エキゾチック液晶を中心とした内容を企画
しました.エキゾチック液晶は,水素結合や電荷の移動など,特殊な分
子間相互作用に由来する,特異な分子集合形態をとる液晶です.その構
造を積極的に利用することは,新しいクラスの機能性材料の発展につな
がる可能性もございます.今回は,このエキゾチック液晶に関連した分
野でご活躍の講師陣をお招きし,今後の発展の方向性を探る試みとして,
この種の液晶に関する包括的な研究会を開催いたします.皆様の振るっ
てのご参加をお待ち申し上げます.
1)行事名:2005年液晶物理・物性フォーラム研究会
「新たな分子間相互作用に基づく秩序形成とその機能 
-エキゾチック液晶の新展開-」
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jlcs/Forum/phys/Physics2a.htm
主催:日本液晶学会 液晶物理・物性研究フォーラム
協賛:応用物理学会,日本物理学会
2)会期:平成17年11月26日(土)
3)開催地・会場:
産業技術総合研究所臨海副都心センター(台場)・第1、2会議室
(〒135-0064  東京都江東区青海2-41-6)
http://unit.aist.go.jp/waterfront/jp/
4)定員:100名
5)プログラム
10:00~10:10 「主旨説明」
10:10~11:00 「超分子液晶の構築―分子間相互作用の制御
と機能化」       加藤隆史(東京大学)
11:00~11:50 「エキゾチック液晶の研究における精密熱測
定の役割」       江間健司(東京工業大学)
11:50~13:20 (昼食)
13:20~14:10 「エキゾチックなディスコティック液晶の相
構造と機能」      太田和親(信州大学)
14:10~15:00 「イオン性液晶-秩序形成と特異性-」
            氏家誠司(大分大学)
15:00~15:20 (休憩)
15:20~16:10 「水素結合性液晶形成化合物ANBCとBABHのキ
ュービック相」     沓水祥一(岐阜大学)
16:10~17:00 「分子間の特異的相互作用に基づく液晶相の
動的制御とマクロ物性」 清水 洋(産業技術総合研究所 関西センター)
18:00~20:00 懇親会(膳丸 新橋赤レンガ通り店)
○参加費:一般会員4,000円,非会員6,000円,学生1,000円
○懇親会:講演会終了後,気軽にご参加いただける懇親会を行います.
料金は1人5,000円を予定しております.
○参加ご希望の方は,下記のお申し込みフォームにある情報を,
香田智則(山形大学):koda@yz.yamagata-u.ac.jp まで電子メールにてお送り
下さい.予稿集の残部に限りがございますので,なるべくお早めにお申し込み
下さい.事前登録なしの当日参加も可能です.参加費・懇親会費は,当日,会
場受付にて,現金にてお支払いお願いいたします.
○問合せ先
香田 智則(山形大学): koda@yz.yamagata-u.ac.jp
平岡 一幸(東京工芸大学): hiraoka@nano.t-kougei.ac.jp
====== お申し込みフォーム ======
(返送先:koda@yz.yamagata-u.ac.jp)
[お名前]:
[ご所属]:
[TEL]:
[FAX]:
[電子メール・アドレス]:
[会員種別]:液晶学会会員・非会員・学生
[学年](学生の方のみ):
[懇親会]:出席する.しない.
======================
講演の概要
「超分子液晶の構築―分子間相互作用の制御と機能化」
                           加藤隆史先生
 超分子液晶とは、多様な分子が水素結合・イオン相互作用・電荷移動相
互作用などの非共有結合を駆動力として集合・組織化して液晶性を発現す
るもので ある。超分子液 晶は、従来の液晶にはない集合構造・動的性質
を有しており、これらの特質を発揮した新しい機能材料として期待される。
超分子液晶の特徴を活用して、イオン・電子機能、環境・刺激応答機能な
どを発現する材料が創られている。本講演では、このマテリアル科学と超
分子化学をつなぐ新しい分子システムである超分子液晶の基本的な分子設
計から集合構造制御、その機能化について述べる。
「エキゾチック液晶の研究における精密熱測定の役割」 
                            江間健司先生
 新たな液晶相、相転移挙動が今なお次々と見出されつつあり活発な研究の
焦点となっている。こうした新奇な現象を調べる上で、様々な測定手法をそ
れぞれの個性を活かして使い分けることが効果的である。その中で、精密熱
測定が果たす役割はどのようなものだろうか。著者が用いている交流法およ
び非断熱走査法による熱測定法について紹介する。時間の許す範囲で試料の
準備等を含めていくらか詳細に述べ、この手法の特に有利と考えられる点を
考察する。比較的最近得られた成果の中からもいくつかの例を紹介したい。
「エキゾチックなディスコティック液晶の相構造と機能」 
                            太田和親先生
 液晶と言えば、一般に分子の構造が棒状の純粋な有機物質と考えられてい
る。従って表題のディスコティック液晶には余り馴染がないと思われる。
そこでまず基礎知識として、ディスコティック液晶の相構造について、今迄
に報告されているものを、簡単に説明する。次に、我々が今どのような研究
を行っているかという順番で説明する。我々の具体的な研究ターゲットは次
の3つである。
(1)液晶半導体となるディスコティック金属錯体液晶の合成と機能
(2)クロミズムを示す金属錯体液晶の合成と機能
(3)金属を含む新規液晶の探索
本講演の中で、これらの応用に、何故ディスコティック金属錯体液晶が良い
のか、何故、大面積均一な薄膜の自発的ホメオトロピックが必要なのかとい
うことがわかって頂ければ幸いである。
「イオン性液晶-秩序形成と特異性-」 
                            氏家誠司先生
 イオン性液晶分子は,親水性のイオン性原子団と疎水性原子団が化学的に
結合した構造をもつ,一種の両親媒性分子である.イオン性液晶は,等方相
ではグリーン溶媒などとも称されるイオン性液体としての特徴も有している.
イオン性液晶は液晶相において,イオン部位の配向吸着現象のために,単に
無配向処理の基板表面に塗布するだけで,自発的垂直配向構造を形成する.
その試料厚は,300μm程度にも達する.熱的には,対応する非イオン化構造
の液晶に比べ液晶―等方相転移点が100℃以上も上昇することがある.また,
イオン相互作用の効果によって,イオン性原子団や水素結合性原子団などの
親水性原子団を簡単に相内に取り込み,複合体を形成することができる.本
講演では,低分子系および高分子系のイオン性液晶について,その基本的性
質と通常の液晶との相違点について解説する.
「水素結合性液晶形成化合物ANBCとBABHのキュービック相」 
                            沓水祥一先生
 ANBC、BABHと略称される二つの化合物群の凝集構造を構成する基本単位は、
いずれも水素結合部を含む芳香環の硬いコアの両末端に一本ずつ柔軟なアル
キル鎖が張り出しただけの簡単な分子構造を持つことで共通している。この
両化合物群の相転移挙動を比較議論することで見えてくるサーモトロピック
キュービ ック相の世界を紹介する。
 まず、「アルキル鎖の長鎖化が広げるキュービックの世界」をテーマに、
Ia3d型とIm3m型の2つのタイプのキュービック相の分子凝集構造モデルを議
論し、次に、「ANBC同族体のスメクチックC-キュービック相転移と粘弾性挙
動」に注目して、分子の横方向の相互作用とパッキングフラストレーション
の拮抗が原因で、秩序の周期性が1次元から3次元へと変化したときの劇的
な粘弾挙動の変化を紹介する。最後に「BABH同族体におけるアルキル鎖と水
素結合」に注目して、相転移挙動のアルキル鎖長依存性の説明を試みる。時
間があれば、サーモトロピック系とリオトロピック系の類似点と相違点につ
いても議論できればと考えている。
「分子間の特異的相互作用に基づく液晶相の動的制御とマクロ物性」 
                            清水 洋先生
 液晶相や中間相では、分子間の引力、斥力相互作用が分子の運動性と結合
して時間平均的な静的描像としても動的状況としても弾力的な分子凝集系の
構築を実現している。つまり温度等の外部因子に対応して多様な秩序系を構
築する。一方、弾力性を欠く固体では動的にも静的にも分子間の特異的な相
互作用の凝集系の多様な秩序変化に対する寄与は小さい。このような特徴的
な中間相では、マクロ物性の制御を分子間の特異的相互作用により静的秩序
の大きな変化なしに動的秩序の変化により制御出来る可能性がある。我々は、
水素結合相互作用や親フッ素・疎フッ素効果などによって分子の運動性を変
化させるような系において形成される液晶相の静的配向秩序と電子的プロセ
スとしての電荷移動現象の関係を探る研究を行っている。本講演では初期的
な状況であるがこれらの結果について紹介する。