Inter Opt 04展示会報告

日本アイビーエム㈱ 東京基礎研究所
長谷川雅樹
Inter Opt’04が7月14日から7月16日まで幕張メッセで開催された。そこで光技術動向調査委員会が主催した技術動向報告会があり、ディスプレイ分野に関してパイオニアの打土井副主査から報告があった。TV用途に主眼がおかれた報告で、LCDの市場の大きな柱であるのでここにまとめる。

まず、2003年の技術動向調査報告書の概要が報告された。昨年度のディスプレイのキーワードは「画質」で、新規技術は登場しなかったが現状の問題を改善する技術開発がさらに進んだ。各デバイス毎の主な技術動向は下記の通りである。
LCD携帯:屋外視認性、高精細
LCD大型:画質(応答速度、色、均一性)
PDP:効率、高画質(階調、コントラスト)
OLED:テレビ表示、効率、長寿命
無機EL:効率、色、輝度
LED:高精細、小型フルカラー
FED:大画面、電子源、コスト
プロジェクション:高精細、輝度、コントラスト、応答速度
電子ペーパー:カラー化
立体表示:方式、めがねなし
続いて各ディスプレイの現在のトピックスが報告された。
LCD: 携帯用パネル:カラーLCDの高性能化。LCDの生産拠点が日本→韓国→台湾→中国へと移動している。また、TV用途への急傾斜が起きた。
PDP:大画面TTVでのLCDとPDPの競争が激化した。
プロジェクタ:背面投写型の巻き返しが始まった。
OLED:商品化が始まった。
全般:画質の評価法の標準化が望まれている。動画表示の評価法のひとつとして、中間調の応答速度の正確な評価方法が必要であるとして、Moving Picture Response Timeという評価項目が提案された。そのほかの評価項目としては、色、コントラスト、γカーブの視野角特性の評価が必要。
最後にPDPとLCDに絞って大型TV用パネルの比較がなされた。多分にPDPに肩入れしているようであったが、寿命一つとってもメーカーが発表している数値をそのまま比較できるように標準化されていないことも事実で、ユーザーにとっては迷う原因となっている。今後の課題であろう。現状では、PDPとLCDを用いた大型TVの外形、重量はともに大差なく、奥行きの違いはほとんどない。また、CRT,PDP,LCDともに画面サイズと消費電力の関係はほとんど同じで定格消費電力は大差がない。実使用での消費電力を表す年間消費電力では低消費電力のPDP製品がでてきた。寿命は、LCDの代表公表値が6万時間だが、実使用でのバックライトの明るさでは輝度が半減するのは2万時間程度ではないか。PDPは公表値が3万時間だが、実使用の輝度での半減期間は6万時であるとして、PDPの優位性を訴えていた。打土井さんが発表したLCDバックライトの2万時間という値は製品の実測値ではなく、PDP, LCDともに標準化された寿命の評価方法の必要性があると思われる。画質は、解像度の点ではLCDが優位で、動画ではPDPが優位であると報告していた。
今後、他の表示方式も競争力がつき、同じ土俵にあがってくるようになると、表示方式が異なっても同じように比較できる評価方法の確立がますます望まれてくる。液晶でもバックライトのパルス点灯や黒画像挿入など多様な表示方式があるが、ユーザーにとっては画像がどう見えるかが問題なので、標準化は必要である。