日本液晶学会名誉会員である矢野紳一氏が令和2年12月8日に82歳でご逝去されました。矢野氏は、物理化学的測定法の中でも特に誘電測定を駆使して、液晶分子およびイオンの動的凝集構造や分子運動の解明を行いました。また種々の新規の液晶化合物の合成にも精力的に取り組むなど、低分子液晶から高分子液晶、リオトロピック液晶、さらにはイオン性高分子に至るまで、旺盛な好奇心のもと、広範な研究を展開されました。氏は学会設立時から学会運営に献身的な貢献を行い、液晶化学研究会セミナー、東海地区高校化学教育セミナーや高校出前講義などを通して地域の高校生に液晶を紹介するなど、学会全体の振興にも尽力されました。これら液晶科学における大きな功績、日本液晶学会に対する大きな貢献と功労に鑑み、当学会から2012年に名誉会員の称号をお贈りしておりました。矢野氏のご逝去の報に接し、心よりご冥福をお祈りいたします。

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発信者:沓水祥一