2010年液晶学会サマースクールは、この数年間定宿にしていた熱海の旅館ではなく、気分を一新して千葉県九十九里浜のホテルで開催することになりました。景気の悪化で参加者が集まるかどうかなど実行委員の心配の種は尽きませんでしたが、予想以上に参加してくださる方も多く大盛況となりました。
今年で16年目を迎えたこのサマースクールですが、内容面では常に変化をしています。特に昨年は15年目の節目ということもあり、このあたりで一度初心に戻って液晶の本質が探れるようなサマースクールにしようということで、「液晶とは何か」というテーマに設定したところ、参加者だけではなく講師の方々にも大変好評を博しました。そこで、本年はさらに深く「液晶の心を知る」という趣のある深いテーマを設定し、講義のみならず参加者どうしの交流を通じて、少しでも液晶の心に迫れるような場を提供することを目的としてみました。
実行委員の欲目もあろうかと思いますが、講師の先生方そして参加者の皆様方のご協力もあり、予想以上の成果が得られたものと自負しております。初心者の方にとっては、液晶についての幅広い知識が得られたに違いありません。特に、安藤先生(シチズン)のご厚意による強誘電性液晶デバイスの実演・展示と、それと併せた液晶ディスプレイ全般に関するポスター講義は、初心者だけではなくベテランの方々にも有益だったのではないでしょうか。多くの参加者からの要望で、ポスター講演に加えて夜のセッションにおいて口頭でも講演をお願いすることになったくらいでした。
また、恒例のナイトセッションでは、グラスを片手にしながらポスターを囲んで夜遅くまで熱い討論が続き、産業的に冷え込んでいることなど信じられないくらいの熱い液晶魂が感じられました。実行委員としてこれほど嬉しいことはありません。
この場をお借りしまして、サマースクールを盛り上げてくださった参加者の皆様に厚く御礼申し上げたいと思います。
これからも、基礎的な内容にとどまらず学術分野や産業分野におけるホットな話題も盛り込むように吟味したプログラムで魅力的なサマースクールを企画する予定です。ぜひ、次回、次々回と繰り返しのご参加をお待ちしております。
実行委員長 久保野 敦史
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主 催:日本液晶学会
校 長:沓水 祥一 (岐阜大学)
日 時:2010年7月22日(木)~24日(土)
場 所:房総九十九里 ホテル東天光 (千葉県長生郡白子町驚963)
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テーマ
「液晶分子の心を知る -分子集合状態のデザインと制御-」
講義内容 (敬称略)
・講義1「分子構造と液晶性」 清水洋(産総研)
・講義2「物質中で光はどのようにふるまうか」 田所利康(テクノシナジー)
・講義3「液晶の光学組織観察」 石川謙(東工大)
・講義4「液晶の粘弾性と光散乱」 久保野敦史(静岡大)
・講義5「分子構造と材料物性」 岸川圭希(千葉大)
・講義6「Frustrated LC」 菊池裕嗣(九大)
・講義7「光配向」 宇佐美清章(大阪産業大)
・ポスター講義+特別講義「LCD概論」安藤智宏(シチズン)
・ポスターセッション
・総合討論「液晶分子の心を探る」 司会:沓水祥一校長(岐阜大)
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実行委員
沓水 祥一 (岐阜大) [校長]
久保野 敦史 (静岡大) [委員長]
安藤 智宏 (シチズン)
尾崎 良太郎 (防衛大)
菊池 裕嗣 (九大)
岸川 圭希 (千葉大)
清水 洋 (産総研)
田所 利康 (テクノシナジー)
西山 伊佐 (DIC)
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