サマースクール2004 報告

日程 :2004年7月15日(木)~17日(土)
開催地:六甲スカイヴィラ

川月喜弘
兵庫県立大学大学院工学研究科

2004 年度の日本液晶学会サマースクールが7 月15-17日まで,神戸市北区の六甲スカイヴィラで行われた.サマースクールは,通常の講演会と趣旨が異なり,液晶の初学者を対象に,液晶の物理・化学・表示にかかわる基礎を中心にして,その応用まで踏み込んだ内容を講義を合宿形式で、行っている.それに加えて,毎年トピックス的な講義も行っており,本年は表示技術に関してフラットパネルディスプレイに関する講義を行った.本年度の参加者は講師を含め89 人(うち学生18 人)で, 2003 度とほぼ同等の参加人数であった.

会期中は,夏本番で相当暑い日が続いていたが,標高931m の六甲山での会場はふもとより若干気温も低かったようであった.会場へは,ほとんどの参加者が新神戸駅からのパスで山道を揺られながら入ったが,山上ケーブルもあるので,次回は是非観光にも訪れていただきたい.受付をすませて直ちに講義に行ったが,まず,サマースクールの生い立ちゃ液晶ディスプレイの開発史を東大の鳥海先生が解説され,初学者には特に好評であった.続いて九州大の木村先生による基本~発展的な液晶物理に関しての講義が行われた.夕方からは,ホテルのガーデンテラスでジンギスカンを囲んで、参加者の交流を深めるとともに,屋外バーベキューを楽しんだ.それに続いて,各部屋に分かれて自由デイスカッションが行われたが,講師を囲んで、ディスプレイの将来について熱く語り合っていた部屋もあり,各自が有意義に過ごせたものと思う.

2 日目は,産総研清水先生より低分子液晶,大分大氏家先生より高分子液晶の化学に関する講義が行われ,昼休みを挟んで、午後からディスプレイに関する講義が行われた.光学の基礎では,昨年に続いて,秋田大の山口先生の講義ではエクセルを駆使したシミュレーションソフトが配布され,それを用いて液晶セル中の光の住相や偏光に関するわかりやすい講義が行われた.工学院大高橋先生の講義ではやや発展的な液晶ディスプレイに関しての講義が行われ,両講義でLCD の仕組みに関してほぼカバーできたのではないかと感じられた.夜にはポスターセッションが行われ,サンプルデモを行うメーカーもあり,多くの参加者が参加して手狭な会場に熱気があふれ,予定時間を大幅にオーバーしてしまった.

3 日目はトピックス講義で,まず兵県大川月が偏光フィルムの解説を行い,三菱電機蔵田先生, NHK 藤掛先生によりフラットパネル全体に関する講義が行われた.蔵田先生からは, EL やプラズマを比較対象にしてLCD の特徴や将来性に踏み込んだ講義が行われ,多くの議論が行われた.藤掛先生からはビデオも用いてフレキシブルディスプレイとしての液晶の解説や,実際にNHKで用いられている新しい液品デバイスについての講義があり,多くの参加者が興味を引かれていた.

会期中は比較的長い昼休みもとったため,近くの牧場や展望台に足をのばし, リフレッシュしながら講義を受けることができた.サマースクールは講義のみならず,参加者同士の交流が深まる絶好の機会であり,同業,異業種会社聞の垣根を越えたおつきあいが今後とも続くようになれば,液晶業界がますます発展するのではないかと思う.また,アンケート結果では講義内容・レベルとも好評で,ほとんどの参加者がほかの人に勧めたいとなっていた.なお,来年度は関東地区開催となっているので,よりいっそうの参加となるようにお願いしたい.