1998年 日本液晶学会 講演会

テーマ:『21世紀のディスプレイをめざしたLCD最新技術動向』

1998年「日本液晶学会講演会」を、液晶学会討論会の前日(10月12日)、千里ライフサイエンスセンターにて開催いたします。 本講演会は、日本液晶学会討論会とシンクロしつつ、基礎から応用にいたる広範な分野における液晶研究の最先端を鳥瞰することを目的に開催する総合講演会です。
 日本液晶学会の主催によるはじめての企画となる本年度の講演会では、21世紀のディスプレイとしてさらに大きく飛躍しようとしているLCDの最新技術動向を明らかにします。

プログラム:
9:00 – 9:15 開会の挨拶
吉野勝美(阪大)
9:15 – 10:05 ラビング配向とその評価(基礎編)
内田龍男(東北大)
ラビングは液晶デバイスの製造過程で最も重要な基礎技術でありながら、その定量的解析や制御が十分に行われていない。本報では、ラビング強度の定義、ラビングによる配向強度(アンカリング強度)の測定法、ラビング強度と表面配向秩序度およびアンカリング強度の関係、配向機構などについて、最近の実験結果を基に述べる。
10:05 – 10:55 光化学反応と液晶配向制御
市村國宏(東工大)

光化学反応によって引き起こされる分子の構造や配向の変化は、液晶の配向状態の変化を引き起こす。本講では、液晶配向制御を目的とする光化学反応の原理と具体例について概説し、とくに、光化学的な分子配向操作について説明する。ついで、この原理に基づく液晶の光配向操作系を紹介する。
11:10 – 12:00 光および非接触配向技術の液晶デバイスへの応用
長谷川雅樹(日本IBM)
現在のTN液晶パネルの配向に関する問題点を述べ、光配向などの新しい配向技術を液晶デバイスへ応用する時の課題を電気光学特性、製造プロセスなどの面から議論する。また、これまでに開発された非接触配向方法、光配向用材料、配向プロセス装置などを紹介し、新規配向技術の現状を報告する。さらに新しい配向技術による液晶デバイスの発展の可能性についても述べる。
昼 食
13:10 – 13:50 ASMモードの配向メカニズムとその応用
山田信明(シャープ)
広視野角液晶表示モードとして、各絵素毎に液晶分子が軸対称状に配向したASMモードを開発してきた。本モードは、そのユニークな配向状態を実現するため、初期配向状態を決定する因子である壁構造、配向状態を固定するポリマースタビライズなどユニークな配向関連の手法が用いられている。本発表では、ASMモードの構造、配向手法および特性について解説し、さらにASMモードが大画面ディスプレーに適していることを実証した42型VGA-PALCへの応用例についても言及する。
13:50 – 14:30 低温多結晶シリコンTFT技術と液晶パネルへの応用
小穴保久(東芝)
低温多結晶シリコンの魅力はなにか?アモルファスシリコンTFTに比べて電気的特性の優れたTFTが低温で作れれば、ガラス基板の上に各種の機能を集積した大型の液晶パネル(COG:System on Glass)が現実のものになる。しかしながら、大面積ガラス基板上に低温で高性能のTFTを作り上げるためには従来の技術の延長にはない技術の「創造と革新」が必須になる。TFT技術を中心に液晶パネルへの応用を解説する。
14:45 – 15:25 垂直配向液晶モードによる広視野角化技術
小間徳夫(三洋電機)
垂直配向液晶モードを用いた広視野角技術を開発した。この方式は、TFTアレイ構造の最適化、対向電極の配向制御窓形成により、傾斜電界で液晶のティルト方向をコントロールするものである。この方法では、広視野角に加え、ラビングレス、低電圧駆動も同時に実現できる。付加機能を同一基板上に形成する低温p-Si TFT-LCDでは、ラビングレス技術、低電圧駆動技術は非常に重要であり、今回の広視野角技術は低温p-Si TFT-LCDに最適な広視野角技術であるといえる。
15:30 – 17:30 パネルディスカッション ―『反射型』の最新動向 ―
コーディネータ 金子節夫(日本電気)
エレクトロニクス技術の進展に伴い益々発展を続けるフラットパネルディスプレイ中にあって、LCDが他のディスプレイを凌駕するためには、非発光ディスプレイとしての液晶本来の性質をいかした反射型が期待されています。本パネルディスカッションでは超先端電子技術開発機構(ASET)の技術委員長である金子節夫氏(日本電気)をコーディネータに迎え、反射型LCDの現状と問題点を明らかにするとともに、21世紀の社会のニーズに応えるLCDの将来展望を鳥瞰します。
  1. TFT型           松浦昌孝(シャ-プ)
  2. STN型           小川 鉄(松下電器産業)
  3. 次世代 (ASET)
    • GHセル         平 洋一(日本IBM)
    • 低電力駆動        鈴木幸治(東芝)
    • ホログラフィックPDLC 葉山 浩(日本電気)
    • 高効率反射板       東垣良之(シャ-プ)
  4. 反射型への要求性能      窪田 悟(成蹊大)
17:30~17:40 閉会の挨拶