設立趣旨
 昨今の電子機能性有機材料の発展は著しく、有機トランジスタ、有機EL、色素増感太陽電池、導電性高分子、電子写真感光体などに活用されています。有機 半導体の電荷移動度は、すでにアモルファスシリコンなみに向上しており、さらに論理回路用のトランジスタにも応用が見込まれれば、産業分野への波及効果は 計り知れません。それらの材料・デバイスプロセスも進展していますが、今後の有機半導体材料の発展・飛躍には、分子配向制御が不可欠と考えられています。

 そこで日本液晶学会では、進展の著しい有機半導体と液晶科学の境界領域を積極的に開拓し、液晶研究の裾野と応用分野を大きく拡張することを目的として、「分子配向エレクトロニクス研究フォーラム」を設立しました。フォーラムの新設は、学会発足以来の8年ぶりとなります。

 本フォーラムは、有機半導体の科学・物性の基礎分野から、電子デバイス への応用分野まで幅広くカバーします。特に、配向の自己組織化を含め、分子構造や分子配向の観点から、分子集合状態(単結晶、多結晶、アモルファス、π共 役高分子凝集系、多様な液晶相など)の電気伝導や光電子機能にフォーカスしていきます。また、配向に伴う電子物性の異方性を活用すれば、新たな概念の半導 体デバイスが創出される可能性があり、それらをいち早く先導していきます。

 上記の趣旨に基づき本フォーラムは、講演会の開催を通して基礎研究のフェーズからデバイス開発まで、幅広く情報交換の場を提供していきます。さらに、分 子配向の専門性と産学連携を強みとして、液晶学会独自の課題を探索することにより、新たな有機エレクトロニクスの創出を目指します。

            2006年度フォーラム主査 藤掛 英夫(NHK)

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